2006年12月20日

三つ子の魂

 昔日の会話。
「あいつ、いま中国行ってるらしいで」
「へぇ……あんまりチャイナな趣味はなかったけどな」
「高校の時の友達に誘われたんやて。絵葉書来てん」
「言うにはな、メシがとにかくうまいらしい。(日本円で)50円も出せば、ごちそうがでてきて、しかもメチャメチャうまいと言うとった」
「本場やからなぁ……4000年、中華4000年やからな」
「うまいやろなぁ……ええなぁ……」

 ぼくと友達は今食べてるものと、中華の本場の食べ物とを比べて、ため息。

「今日、明日には帰ってくるで」
「うわぁ、蘊蓄聞くのうっとうしいなぁ」
「土産話やがな。聞いたれ」
「聞かんでもないけれど……」

 会話の舞台は「王将」。カレーとラーメンという、ある意味欲望にものすごく忠実だが趣味の悪いセットメニューを食べ終えたぼくと友人は、本場の中華との落差に思い比べて、暗澹とした気分でいると、大きなボストンバッグを抱えた客が入ってきて、座るなり、餃子と炒飯を頼む……
 よく見ると――それは話題の主になっていた中国旅行に行っていた男でした……

 帰ってきて、とりあえず腹が減ったから、いつもはいる店のいつも頼むものを思わず口にしたとのこと……「中華料理への愚弄」だ「4000年の歴史を土足で踏みにじった」、「味覚障害」、「普段から調子に乗っている」などと、ふたりしてさんざん突っ込み倒したのはいうまでもありませんが……
 今にして思うと、「王将」は中華料理ではなく、日本の大衆食なんでしょうねぇ。



 近所の王将、延時店のドン丼セット。
 これに餃子がつきます。



 770円だったかな。
 麻婆は下にごはんがあって、丼です。

 もはや食に量を求める年齢ではないので、王将は食べきるのがしんどかったりするんですが、それでも足を運んでしまうのは、昔に刷りこまれた行動パターン、三つ子の魂……というやつでしょう。中国から帰ってきて、即、王将に入って見つかって、さんざんけなされた友人と同じ行動でしょう。

 味は、ま、王将です。餃子はウマイです。脂っぽいですけどね。
 麻婆は以前とは味が変わっています。いいほうに変わっていますね。小生意気に山椒などふりかけやがります。

 王将も京都ですね。天下一品と、横綱と、王将。これから子供を京都の大学に送り出す、親のみなさん。お子さんはおそらくは自分の判断で、初めて食事を選ぶことになるとおもいます。懐具合と腹具合に照らし合わせて、いろいろな選択肢の中から、最適のものを選ぶわけです。たいていは、王将、ラーメンという具合になりますよ。
 しかも、それは刷りこまれます。その後長く影響を受けるほどに深く。
 ぼくのように。
 中国で腹一杯中華を食べてきた友人が、自然と足が向くように。


   


Posted by guntech at 10:27Comments(2)餃子の王将